内視鏡治療前の評価の妥当性を検討する目的で, 手術前に気管支鏡で計測した腫瘍の長軸進展距離と切除された摘出標本の進展距離および気管支壁内の深達度についてX線無所見肺癌例でprospectiveに比較検討した。その結果, 41例中15例は可視範囲外に腫瘍が進展しており, 全長にわたる計測が不可能であった。切除標本との比較が可能であった20病変では過小評価13, 過大評価6, 一致1で, 腫瘍の気管支鏡所見が微細な症例では過小評価する傾向にあった。術前測定距離が10mm以下の13例のうち1例は気管支壁外浸潤の非早期癌であった。以上より, 内視鏡治療前の評価は必ずしも万全ではなく, 内視鏡治療で根治を目標とする場合には, 治療後の厳重な経過観察と再発時には症例に応じてsalvage surgeryあるいは放射線治療が必要と考えられた。