気管支学
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胸部 X 線無所見肺扁平上皮癌例における術前気管支鏡下進展距離測定と切除標本の比較検討(肺門部早期癌の診断と治療)(第 18 回日本気管支学会総会特集号)
佐藤 雅美斉藤 泰紀菅間 敬治阿部 二郎桜田 晃佐川 元保相川 広一陳 炎遠藤 千顕薄田 勝男高橋 里美高橋 博人岡庭 群二藤村 重文
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1995 年 17 巻 8 号 p. 767-771

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抄録

内視鏡治療前の評価の妥当性を検討する目的で, 手術前に気管支鏡で計測した腫瘍の長軸進展距離と切除された摘出標本の進展距離および気管支壁内の深達度についてX線無所見肺癌例でprospectiveに比較検討した。その結果, 41例中15例は可視範囲外に腫瘍が進展しており, 全長にわたる計測が不可能であった。切除標本との比較が可能であった20病変では過小評価13, 過大評価6, 一致1で, 腫瘍の気管支鏡所見が微細な症例では過小評価する傾向にあった。術前測定距離が10mm以下の13例のうち1例は気管支壁外浸潤の非早期癌であった。以上より, 内視鏡治療前の評価は必ずしも万全ではなく, 内視鏡治療で根治を目標とする場合には, 治療後の厳重な経過観察と再発時には症例に応じてsalvage surgeryあるいは放射線治療が必要と考えられた。

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© 1995 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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