気管支学
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肺癌に合併した気管気管支軟化症(刀鞘型)の 1 手術例
鈴木 隆堀 豪一山城 元敏北見 明彦高木 啓成島 道昭鈴木 一野口 英世
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1991 年 13 巻 2 号 p. 197-203

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抄録

咳嗽失神を主訴に来院して発見された肺癌, 気管気管支軟化症合併症例を経験した。本症例は術前呼吸機能評価上, 一秒量, 予測一秒量が低下していたが, これを合併した気管気管支軟化症によるものと判断し, 右肺全剔除術, リンパ節郭清とともに気管拡張術をおこなった。気管拡張術はリング付きゴアテックスを用いて気管軟骨部での気管拡張を図った。術後一時期咳嗽失神は消失し, 胸部CT上も気管の虚脱は改善されたが, 徐々に呼吸困難が増悪し9カ月目に呼吸不全死した。本症例の気管気管支軟化症は閉塞性肺疾患に合併したもので, 気管や主気管支に閉塞性機転が限局したものではなかった。気管気管支軟化症には種々の病態があることが指摘されているが, 高度の閉塞性肺疾患に気管気管支軟化症が合併した症例では気管気管支軟化症そのもの, あるいは肺癌などの合併疾患とともに手術を施行するさいの判断基準が厳密であるべきであると考え報告した。

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© 1991 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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