日本がん看護学会誌
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原著
上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤による皮膚障害を抱える非小細胞肺がん患者が直面している日常生活への影響
平山 憲吾濵田 珠美
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2017 年 31 巻 論文ID: 31_hirayama_20170927

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抄録

要 旨

目的:本研究は,上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFRTKI)による皮膚障害を抱える非小細胞肺がん患者が直面している日常生活への影響を明らかにすることである.

方法:ゲフィチニブまたはエルロチニブを使用し,外来通院している非小細胞肺がん患者9 名を対象とした.半構成的面接を実施して得たデータは,Berelson による内容分析を参考にした舟島の手法を用いて質的帰納的に分析した.

結果:皮膚障害による日常生活への影響は7 つのコアカテゴリに分類された.参加者は,【疼痛や掻痒を伴う苦痛】と【症状に対する不安や外見上の苦痛】を抱え,治療を進めていく過程で【症状出現による日常生活の不便】や【対処後も続く苦痛】があった.また,【皮膚障害悪化の不安】を抱えることで【症状をコントロールするための行動】を実践していたが,【皮膚障害に対する必要な支援を求める】内容として症状に関する情報や家族の支援も必要としていた.

結論:皮膚障害を抱えることで身体的苦痛を抱え,社会生活にも影響を及ぼしていた.セルフケアの実践が症状の改善に繋がらずスキンケアを中止していた参加者がいた一方,皮膚障害の見通しをもつことでケアを継続できていた参加者もいた.看護者は,治療導入時から皮膚障害の特徴を患者と共有することでセルフケアを継続できるように思考の転換を図り,治療開始後も皮膚状態のアセスメントや日常生活の指導を継続していく必要性が示唆された.

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2017 一般社団法人 日本がん看護学会
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