日本作物学会紀事
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穂の水ポテンシャルとイネの水ストレス感受性との関係
津田 誠山口 治秀高見 晋一池田 勝彦
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1994 年 63 巻 2 号 p. 200-207

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抄録

イネでは旱ばつによる減収程度は旱ばつを受けた時期によって異なるので, 水ス卜レス感受性は穂の発育時期に伴い変わると考えられた. そこで, 水稲品種(こしにしき, 染分) をポットに移植し, 幼穂分化後の異なる発育時期に水ストレスを与え, 常時湛水状態とする対照と比較した. 水ストレス感受性は出穂前には穂の発育が進むほど増大したが, 出穂後には登熟が進むほど低下した. この水ス卜レス感受性の変化は, 水ストレスによる精籾数低下程度の変化と一致した. また, 水ストレス感受性は蒸発散能の違い, 日中の葉身水ポテンシャルの低下程度には影響されなかったものの, 出穂前には葉身水ボテンシャルの低下に伴う穂の水ポテンシャルの低下程度が小さいほど大であった. すなわちイネの水ストレス感受性は, 主として精籾数を介して発育に伴い変化すること, 出穂前には穂の水ポテンシャルが乾燥条件下で高く維持される時期ほど大きいことが分かった.

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