2015 年 30 巻 6 号 p. 973-976
〔目的〕転倒予測指標として応用歩行予備能力の有用性を検討する.〔対象〕二次予防事業対象者の高齢女性36名.〔方法〕運動機能評価,歩行周期変動,応用歩行予備能力,生活活動量,転倒恐怖感を測定し,転倒経験の有無でこれらの平均値を比較した.転倒予測因子を多重ロジスティック回帰分析から検討し,Receiver-Operating-Characteristic曲線からカットオフ値を求めた.〔結果〕転倒群では歩行周期変動が有意に増加し,応用歩行予備能力と生活活動量が有意に低下した.応用歩行予備能力は転倒予測因子として有用性は認められず,生活活動量と中等度の相関を認めた.〔結語〕応用歩行予備能力は生活活動量の評価と併用し,移動能力の補足的な値として利用できる可能性が示唆された.