2014 年 29 巻 1 号 p. 123-129
〔目的〕認知機能の低下が脳卒中および大腿骨頸部骨折患者のADL構造に及ぼす影響を明らかにする.〔対象〕日本リハビリテーション医学会患者データベースより対象となる症例を抽出した.〔方法〕認知症高齢者の日常生活自立度判定基準を指標に対象症例を4群に分け,FIM運動項目得点とRasch分析で求められたADL難易度を群間で比較した.〔結果〕脳卒中3,367例,大腿骨頸部骨折595例が抽出された.4群に分けた対象症例は両疾患とも重度になるにしたがいFIM得点が低下した.ADLの重度化にともないADL難易度順位の入れ替わりがあった.〔結語〕認知機能の重度化にともなう整容動作と排泄コントロールでの難易度の上昇は,これらのADLに対する早期からの配慮が重要であることを示す.