2012 年 27 巻 4 号 p. 457-460
〔目的〕85歳以上の超高齢者の大腿骨近位部骨折患者の自宅退院に関連する因子を検討すること.〔対象〕85歳以上の大腿骨近位部骨折患者21例とした.〔方法〕対象者を転帰別(自宅群,非自宅群)に分け診療録より得られた年齢,在院日数,骨折型,認知症の有無,合併症の有無,受傷前および退院後介護保険利用の有無,受傷前および退院時のFunctional Independence Measure (FIM),退院時移動手段,同居家族を群間で比較した.〔結果〕自宅群では非自宅群に比べて受傷前介護保険利用が少なく,受傷前FIMのセルフケア,移乗および移動,退院時FIMの排泄コントロール,移乗および移動の項目で評価点数が高く,歩行による移動手段を多く獲得していた.〔結語〕受傷前Activities of Daily Living (ADL)が高く,退院時に歩行を獲得し排泄コントロールが良好なことは自宅退院の可能性を高める.