理学療法科学
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Print ISSN : 1341-1667
研究論文
投球動作特性を考慮したPNFの遠投課題に対する効果について
徳元 仁美松原 由未子粟井 瞳木村 護郎今野 宏亮高橋 修佐々木 誠
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キーワード: PNF, 投球動作, 遠投課題
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2004 年 19 巻 4 号 p. 311-316

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抄録

本研究の目的は,スポーツ動作特性を考慮したPNFを実施し,そのスポーツ動作に対する有効性を示すこと,ならびに放散作用によるオーバーフロー効果が大きく現れると考えられる姿勢でPNFを行った場合の,スポーツ動作への更なる効果の有無を明らかにすることである。健常な女性の学生15名を対象に,3つの条件下で投球時に非軸脚となる側の片脚立位での重心動揺測定および野球ボールの遠投課題を行わせた。条件は,コントロール条件,足底を接地しない坐位にて投球する側の上肢からPNFを実施した条件(以下,足底非接地条件),オーバーフロー効果が顕著になると考えた足底を接地した坐位にて同様のPNFを実施した条件(以下,足底接地条件)の3条件である。重心動揺測定における実効値面積は,コントロール条件と比較して,足底非接地条件と足底接地条件のいずれとも有意に減少した(p<0.05)。遠投距離は,コントロール条件よりもPNFを施行したいずれの条件でも有意に延長した(p<0.05)。更に,足底非接地条件と比較して,足底接地条件は有意に遠投課題の成績が良好であった(p<0.05)。結果より,野球における投球動作は,その動作特性を考慮したPNFを実施することで成績が向上し,更に,機序は明確ではないものの,オーバーフロー効果が大きく現れると考えられる姿勢でPNFを行った場合,より有効であると考えられた。

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© 2004 by the Society of Physical Therapy Science
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