Journal of Pesticide Science
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除草剤アロキシジムのエンバクに対する影響の組織学的観察
石川 尚雄奥貫 進川名 貴広野 好彦
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1980 年 5 巻 4 号 p. 547-551

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抄録

栽培エンバクを用いて, アロキシジムの効果を検討した. 供試剤の0.4kg/ha相当量散布されたエンバクは, 2日以内に新葉伸長の完全停止がみられた. 処理後5日目の葉鞘部について, 茎頂付近の縦断面を肉眼観察した結果, 分裂組織部の褐変が認められた. しかしこのような状態での新葉, 展開葉との間には, 外見上の変化は認められなかった. その後, このような褐変は, 基部全体から各部に拡大し, 植物全体が枯死するに至った. このようなことから, アロキシジムの効果について, 茎頂部分の光学的検鏡を行なった. アロキシジム散布12時間後の茎頂分裂組織での細胞配列はきわめて不規則であり, また高倍率での検鏡では, 核はすべて凝集しており, 無処理区に見られたような分裂像は認められないことがわかった. アロキシジムはイネ科植物に卓効を示すが, これはイネ科植物の茎頂部の分裂組織に作用し, 植物を枯死に至らしめるものと推察された.

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