産業衛生学雑誌
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国有林労働者の騒音曝露に関する調査
垰田 和史渡部 眞也西山 勝夫福地 保馬宮北 隆志
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1998 年 40 巻 3 号 p. 85-90

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抄録

国有林労働者の騒音曝露に関する調査:垰田和史ほか.滋賀医科大学予防医学講座-チェンソー, 玉切装置, 玉切機, 刈払機, トラクター, ログローダー, フォークリフト等を使用する81人の国有林労働者を対象に, 携帯型の個人騒音曝露測定装置を用いて, 1労働日の曝露騒音レベルを測定した.また, 対象者の所属する営林署の勤務簿から年間の騒音曝露作業日数, 作業時間を求め, 実測値を用いてLeq(8h)の年間平均を推定した.調査は, 1988年7月から12月にかけて実施した.騒音レベルの最大瞬時値はフォークリフトの1台を除く全ての機械で100dBを超えており, チェンソーではほとんどが110dBを超えていた.チェンソーによる伐木作業と土場・盤台玉切作業, 刈払機による下刈り作業及びキャビンなし集材機による作業は, 95dB以上あるいは90dB以上の騒音レベルに対応する許容時間を超えていた.過去の報告に比べて年間の騒音曝露日数は減少していたが, 調査した34人の伐木造林手のうち32人の平均Leq(8h)は85dBを超え, うち5人は90dBを超えていた.以上の結果より, 1988年という時点で, チェンソーや玉切装置や玉切機, キャビンなしの集材機を使用していた国有林の労働者には, 騒音性難聴の危険性があると考えられた.

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© 1998 公益社団法人 日本産業衛生学会
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