緒言：2例のSinding-Larsen-Johansson病の患者の画像所見と治療の経過を報告する．
症例：第一例は，サッカー部に所属する10歳の男性である．サッカーの練習後に左膝の軽度の痛みを覚えるようになった．その後，体育での走り高跳びの着地の際に左膝痛が再燃，疼痛は著しく増悪し，歩行が困難となって，当科を受診した．X線像，computed tomogram（以下CT）およびmagnetic resonance imaging（以下MRI）から剥離骨片型のSinding-Larsen-Johansson病と診断した．保存的に加療し，症状の再燃から8カ月後，X線像にて石灰化巣と膝蓋骨との癒合が認められた．第二例は，剣道部に所属する12歳の男性である．学校の体育でのハードル練習中の着地の際に左膝痛が出現した．安静にて痛みは消退したものの，その後，走り幅跳びの踏み切りで再び痛みを覚えたため，当科を受診した．臨床所見，X線像，MRIから剥離骨片型のSinding-Larsen–Johansson病と診断し，保存的に加療した．症状の再燃から1カ月で疼痛は消退し，治療を終了した．
考察：Sinding-Larsen–Johansson病は，遭遇する機会が少ないが，圧痛点などの理学所見とCTおよびMRIが，本疾患の診断に有用であった．
結語：剥離骨片型のSinding-Larsen-Johansson病の2例を経験し，そのうちの1例で，治癒までのX線像の経時的変化を観察することができた．2例とも，保存療法で症状が軽快し，良好な結果が得られた．
