2005 年 29 巻 2 号 p. 133-142
本研究では, 異なる対人関係を持つ学習者が在籍する2つの対面授業で実施されたCMCを比較し, 学習活動としてのCMCがどのように始まり, 協調場面へとつながっていくかというCSCLの初期過程を分析した.その結果, (1)役割を決めて行うCSCLでは, 参加者間の知己の有無にかかわらず, ほとんどの場合同様な流れに沿ってディスカッションが進行すること, (2)対人関係の親密さの度合いの違いによって, ディスカッション課題に関する最初のコミュニケーション成立までの期間に大きな差がみられることがわかった.また, CSCL環境を設計するためには, 学習者の自己開示, 役割と課題との関係, 議論への介入といった面で, インストラクションや足場かけの余地があることが示唆された.