2021 年 44 巻 3 号 p. 315-324
本研究では,イングランド地域にあるAQA 試験局(Assessment and Qualifications Alliance)が発行したテクニカル・アウォード資格STEM のシラバスを分析・検討することを通して.日本におけるSTEM 教育の計画・実施・評価に関する参照基準を検討する資料を得ることを目的とした.資格STEM はキーステージ4(14~16歳)での学習が想定され,現実的な職業や仕事などの文脈を通して学習する3つの単元から構成されていた.実践的な学習活動を伴う単元では,STEM に基づいた産業を調査する学習や,製品やサービスを創造する学習が想定されており,STEM 教育の学習過程などに対する示唆を得ることができた.また,各単元では,適用されるべき科学,技術,工学,数学に関する固有の知識や理解が明示されており,資格STEM とナショナル・カリキュラムの教科との関連性や位置づけが推察できた.