日本看護研究学会雑誌
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看護管理者が認識する研究成果活用を推進する組織的支援の現状と阻害要因の検討
遠藤 良仁布施 淳子
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2010 年 33 巻 2 号 p. 2_61-2_68

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抄録

  本研究の目的は,看護管理者の認識から研究成果活用の阻害要因を明らかにすることである。全国の400床以上の一般病院722病院の看護管理者を対象に,研究成果活用の組織的支援の現状と阻害要因について質問紙調査を行った。回収は139部で128部を分析対象とした。結果,組織的支援として,ほぼ全ての病院で専門誌・インターネットの利用,8割で論文データベースの利用と人的サポートによる支援を整えていた。阻害要因としては,因子分析により『看護師の研究能力と認識,役割の限界』,『人的サポート環境による学習意欲不足』,『研究成果活用性の検討不足』,『研究成果の収集と実践の環境的制限』の4因子が抽出された。
  以上より,研究成果活用への組織的支援は整備されつつあるものの,実践の主体である看護師の能力の発揮,学習意欲への働きかけ,研究成果の収集の非効率性,および研究成果自体の質の問題が潜在化していることが示唆された。

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© 2010 一般社団法人 日本看護研究学会
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