1991 年 18 巻 6 号 p. 631-634
個体内でおこるシナプス形成現象は二つに分けて考えられる。第一は個体の発生・分化の過程で起こるシナプス形成である。第二はシナプス形成後に, とくに成熟固定で起こる新たなシナプス結合の誘導, あるいは再形成である。この過程ではシナプスの誘導あるいは再形成は何によって引き起こされるかが問題となる。そして, 標的細胞の活動状態でこれがどのように修飾されるかは, 神経組織の可塑性を考える上で重要である。本稿では, この問題について, 自験例に基づいて述べる。