1989 年 16 巻 1 号 p. 23-28
理学療法の治療対象である筋に,治療手段としてよく用いる温及び冷刺激を加え,筋活動がどのように変化するかを,筋電図積分値を用いて分析してみた。健康な男性(18歳〜29歳)11名の右上腕二頭筋を対象とした。手関節部に5kgの負荷を加え,肘関節90°屈曲位での等尺性収縮を行わせ,まず無刺激で5秒間のIEMGを得,次いで冷刺激(皮膚温20°5分),温刺激(皮膚温40°10分)を加え同様にIEMGを得た。無刺激時のIEMGを100%とした場合,冷刺激では82〜201%の変化で,上昇したもの8名であった。温刺激では62〜92%の変化で,減少したもの9名であった。このように温,冷刺激が対照的な筋活動の変化をもたらすことが確かめられた。