理学療法学
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原著
ラットヒラメ筋の廃用性筋萎縮に対する低温刺激の効果
吉川 紗智渡部 由香片岡 紀香片岡 英樹吉川 和代中野 治郎沖田 実
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2006 年 33 巻 5 号 p. 272-278

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抄録

本研究の目的は,ラットヒラメ筋の廃用性筋萎縮の進行抑制に対する低温刺激の効果を明らかにすることである。7週齢のWistar系雄ラット26匹を無作為に対照群5匹と実験群21匹に分け,7日間の後肢懸垂法(以下,HS)により,実験群のヒラメ筋に廃用性筋萎縮を惹起させた。そして,実験群の内5匹はHSのみとし(HS群),残りの16匹はHSの過程で毎日60分間,冷水浴によって後肢に低温刺激を負荷した(HS&Cold群)。なお,低温刺激の温度条件は10℃,20℃,30℃の3条件とし,HS&Cold群のラットを無作為に振り分けた(10℃,n = 6;20℃,n = 5;30℃,n = 5)。低温刺激の負荷による廃用性筋萎縮の進行抑制効果は,30℃では認められないものの,20℃ではタイプI線維のみに,10℃ではタイプI・II線維ともに認められた。また,10℃での低温刺激の負荷でヒラメ筋内の毛細血管数が増加した。以上のことから,低温刺激の負荷は廃用性筋萎縮の進行を抑制する作用があり,これは刺激温度が低いほど効果的であることが示唆された。

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© 2006 公益社団法人 日本理学療法士協会
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