2004 年 53 巻 7 号 p. 659-668
ラテックスアレルギーに関する国内初の大規模な意識・実態調査を,藤田保健衛生大学病院の全医療従事者(1512名)を対象に実施した.まず,ラテックスアレルギーについての知識や,天然ゴム製品を使用した際に臨床症状を経験したことがあるかどうかをアンケートで尋ねた.その結果,約85%の人がラテックスアレルギーについて知っていることがわかった.一方,臨床症状を経験したと答えた人は,全体の約19%であった.臨床症状を訴えた人を対象として皮膚テストを行った結果,44人(全体の3.3%)がラテックスアレルギーであると確定診断された.また,ラテックスアレルギーと診断された人は,アトピー性皮膚炎や手湿疹を有する傾向があることがわかった.さらに,天然ゴム製品に曝露される機会が多い環境の職員ほど,ラテックスアレルギーの有病率が高いことが明らかとなった.ラテックスアレルギーの診断に関しては,抗原特異lgE抗体検出試験は感度が低く効果的ではないものの,プリックテストや使用テストが有効であることが確認された.