アレルギー
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抗原吸入誘発後の誘発喀痰および血漿中Endothelin-1 (ET-1) 濃度の変化
黒川 真嗣金野 真一五野上 良材河野 泰郎河津 謙太足立 満岡本 美智子
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1996 年 45 巻 4 号 p. 386-392

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抄録

近年, endothelin-1 (ET-1)は気管支平滑筋収縮作用を有し, 気管支喘息病態に関与していることが示唆されている. そこで我々はアトピー性気管支喘息におけるET-1の関与を検討するために9人のアトピー性気管支喘息患者に抗原吸入誘発試験を行い, 高張食塩水吸入による誘発喀痰および末梢血液中のET-1濃度を抗原吸入前, 即時型喘息反応時(immediate asthmatic response:IAR), 遅発型喘息反応時(late asthmaticresponse:LAR),抗原吸入24時間後と経時的に測定した. 血漿中ET-1濃度は抗原吸入前値(1.99±0.23pg/ml)に比しIAR時(2.31±0.24pg/ml;0.05<p<0.1), LAR時(2.55±0.27pg/ml; 0.05<p<0.1)には上昇傾向を示したが明らかな有意差は認めなかった. 喀痰中ET-1濃度は抗原吸入前値(4.29±2.55pg/ml)に比しIAR時(14.75±2.77pg/ml; p<0.05), LAR時(18.51±4.57pg/ml;p<0.05)共に有意に高値を示した. 以上の結果によりET-1はアトピー性気管支喘息患者に抗原吸入で引き起こされるIAR,LARの出現に関与している可能性が示唆された.

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© 1996 日本アレルギー学会
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