1981 年 30 巻 10 号 p. 937-944
exercise-induced asthma (EIA)の症例を対象に, DSCGの効果と気道閉塞部位, 血清IgE値との関係を検討した.10例中8例に皮膚反応陽性抗原を認め, 6例で血清IgEの上昇をみた.自転車ergometerによる運動負荷前と後にairとHe-O_2のflow-volume曲線, 呼吸抵抗(Rrs), FEV_<1.0>を記録した.第1日目は無処置, 第2日目はDSCG 1 capsule吸入後に同量の負荷をかけた.両日の負荷前肺機能成績の間には有意差がなかった.Despasらの方法で分類すると負荷5分後6名がresponder (A群), 4名がnon-responder (B群)だった.無処置時はB群でFVC, FEV_<1.0>, PF, V_<50>が著明に減少, Rrsは上昇し変化率の少ないA群と有意差を示した(p<0.01).DSCG吸入後の運動でA群, B群とも気道収縮が軽減したが, 特にB群で著明だった.DSCGの効果はIgEの上昇していた6名のうち5名で著明であり, 1名に中等度有効だった.一方IgE正常の4名では, DSCGの効果は1名でのみみられた.これらの事実はDSCGの効果が気道閉塞部位より, むしろ血清IgEと強い相関を持つことを示している.