日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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ワークショップⅠ
慢性呼吸器疾患における運動療法の意義
安藤 守秀
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2012 年 22 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

運動療法は慢性呼吸器疾患の安定期および急性増悪時においてともに重要な役割を果たす.安定期における運動療法は主に骨格筋の好気的代謝能力の改善によって運動中の乳酸アシドーシスを抑制し,運動中の換気量を減少させることを通して患者の呼吸困難をコントロールし,動作能力を向上させ,QOLを改善させる効果がある.このような効果はすでに確立されており,運動療法は呼吸リハの中心を占める手技と理解されている.しかし運動療法をより効果の高いものとするためには,その背景となる労作時の病的呼吸困難感の発生機序をより深く理解し,他の治療法と有機的に組み合わせることが必要である.また近年COPDを中心とした慢性呼吸器疾患急性増悪時における早期からの理学的アプローチが退院時の運動耐容能,QOLの改善に寄与し,長期予後を改善することが示された.この早期リハにおいても運動療法は中心的な位置を占めている.

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© 2012 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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