日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
吸入酸素濃度調節機能のない簡易酸素マスクにおける酸素流量と吸入酸素濃度の関係
―酸素マスクと鼻カニュラ併用でどの程度の高濃度酸素吸入が可能か?―
宮本 顕示前川 弘恒岡田 晃笠原 敏史
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2005 年 15 巻 2 号 p. 264-269

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抄録

簡易酸素マスク,リザーバー付酸素マスク,簡易酸素マスクと鼻カニュラ併用など,吸入酸素濃度調節ができない器具で酸素吸入を行う場合の酸素流量と吸入酸素濃度の関係を,人工顔モデルを用いて検討した.1回吸気量は400 mlと800 ml,吸気時間は1秒,呼気時間は2秒とした.どの酸素マスクを用いても酸素流量が一定の場合は1回吸気量が少ないほど,1回吸気量が一定の場合は酸素流量が多いほど,吸入酸素濃度は高かった.リザーバー付酸素マスクの吸入酸素濃度は,酸素を高流量流しても,製品カタログに記載されている数値よりかなり低かった.しかし,同マスクを使用すると,簡易酸素マスクと鼻カニュラ併用に比べ,より少ない酸素流量で,同程度の高濃度酸素を吸入させることができた.吸入酸素濃度調節ができない器具で酸素を投与する場合,患者の動脈血分析を行いながら慎重に酸素流量を決めるべきである.

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© 2005 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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