2009 年 19 巻 2 号 p. 156-162
呼吸筋トレーニングに関する国内外の臨床研究について,システマティック・レビューを行った.レビューに際しては,比較対照試験(RCT)であること,対照群があること,呼吸筋に対する適切な負荷方法でトレーニングが行われていること,適切な生理学的評価が行われていることの4点を評価基準にした.その結果,COPDにおける呼吸筋トレーニングの効果は,呼吸筋力・呼吸筋耐久力の増加に関しては確実であり,高負荷の呼吸筋トレーニングでは運動耐久力の増加と呼吸困難の改善が得られ,健康関連QOLの改善に関しては呼吸筋トレーニング単独では疑問であると考えられた.健康関連QOLの改善に関しては,呼吸筋トレーニングと他の運動療法との併用で効果が期待されることから,今後の臨床研究が待たれる.