システム農学
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研究論文
農関連NPO法人における委託事業の影響と農林地の利用特性
冨吉 満之北野 慎一
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2014 年 30 巻 3 号 p. 77-86

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抄録

農業や農村に関わる民間非営利活動の成果と課題を抽出するために、農業および農村分野に関わる全国のNPO法人(農関連NPO法人)を対象とした郵送アンケート調査を実施した。1,159団体のうち281団体から得られた回答について(回収率24.2%)、(1)活動内容の特徴、(2)委託事業の受託による組織への影響、(3)農林地の保全・管理の特性について分析した。その結果、農関連NPO法人の活動内容としては「農業体験」および「農地保全」が多い状況にあった。行政からの委託事業の影響について、受託経験がある組織は予算規模が300万円程度大きくなっていた。特に雇用事業を対象として評価すると、委託事業終了後の雇用継続は半数近くが困難である傾向が示された。農地の取得形態(借入方法)としては、半数近くが農地制度に則った形で行われていない状況にあるものの、所有者や地域との信頼関係を構築する中で農地の利用が可能になっていることが示唆された。一方で、制度に則った形での農地利用を行う団体も存在しており、NPO法人という新しい法人形態による農地利用が進められている状況が示された。

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