臨床リウマチ
Online ISSN : 2189-0595
Print ISSN : 0914-8760
ISSN-L : 0914-8760
原著
高齢者の要介護状態にみられる関節リウマチの影響~HAQを低値に抑えることが要介護状態の回避につながる~
大村 知史福田 亙柳田 拓也角谷 昌俊尾本 篤志川人 豊
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 31 巻 1 号 p. 15-23

詳細
抄録

目的:高齢関節リウマチ(RA)患者における要介護状態の実態を明らかにし,介護必要度に寄与する因子を検討する.対象と方法:当センター通院中の65歳以上のRA患者712名について,日本の介護保険制度における介護認定の状況を調査した.介護認定にて要介護1~5(A),要支援(B)と認定された2つの患者群と認定を受けていなかった患者群(C)に分類し,罹病期間やDisease Activity Score(DAS)28,Japanese Health Assessment Questionnaire(JHAQ),治療内容に関して比較,検討した.結果:介護認定群(A・B群)の患者数は187名で,認定割合は26.3%であった.等級不明であった4名を除くとA,B,C各群の患者数は103,80,525名であった.年齢,性別,投薬内容やDAS28-ESR,JHAQを独立変数として3群間の比較を行ったところ,JHAQが介護度の悪化に最も寄与していた(OR:5.00,95%信頼区間:3.24-7.97).介護認定の有無は,JHAQスコアのカットオフ値を0.75とすることで感度84.2%,特異度79.6%と良好に予測できることが分かった.結論:RA患者は一般人口と比較し介護認定者の割合が高い傾向にあった.JHAQが介護必要度に最大の寄与をしており,そのスコアにより介護必要度が推定できる.関節リウマチの治療や併発症の予防によりJHAQを0.75未満に抑えることが,要介護状態の回避につながると推定される.

著者関連情報
© 2019 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top