臨床リウマチ
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誌上ワークショップ 実地医家からみた2010RA分類基準の現状
ACR/EULAR 2010 RA新分類基準をどのように活用するか
川人 豊
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2013 年 25 巻 1 号 p. 52-57

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抄録

   関節リウマチの治療の目標は,ACR/EULARの新寛解基準にもあるように,機能的,構造的な寛解を見込める臨床的寛解であるが,この目標を達成することは現時点ではまだ難しく達成率は低い.目標達成のためには,早期診断,早期治療につきる.早期の関節リウマチを識別する基準の作成は難しく,完全なものは作成不可能とされていたが,ACR/EULARが何重もの統計解析を行い,新分類基準を示した.この基準は,旧基準や他の基準と比較すると感度は良いが特異度が低くなるため,スコアリングに目を奪われると正確な診断ができない.大切なのは,スコアリングに至るまでの臨床的な思考過程である.すなわち,除外診断は最も大切で,完全な除外診断ができれば分類基準は不要であるが,誤った診断をしないためには,ある程度の除外診断が必要である.除外すべき疾患は,各国により異なるとして,ACR/EULARは鑑別リストを作成しなかったが,日本リウマチ学会新基準検証委員会が示した鑑別すべき疾患の難易度別リストを参考に鑑別していくことが,現時点での最良方法であると考える.本総説では,ACR/EULARの新分類基準をどのように活用するかについて概説する.

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© 2013 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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