臨床リウマチ
Online ISSN : 2189-0595
Print ISSN : 0914-8760
ISSN-L : 0914-8760
誌上ワークショップ 生物学的製剤の時代におけるこれからの外科的治療のあり方―HAQの視点からの考察―
大関節の機能を維持する外科的治療のタイミング
松下 功関 英子元村 拓木村 友厚
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 22 巻 4 号 p. 438-443

詳細
抄録

目的:TNF阻害剤の荷重関節破壊に対する効果と限界を解析し,荷重関節機能を維持するためのTNF阻害療法と外科的治療のタイミングについて検討する.
対象:TNF阻害剤を2年以上投与したRA39症例の下肢荷重関節のうち,人工関節置換術後と強直に陥った関節を除外した240関節(股関節65関節,膝関節53関節,足関節69関節,距骨下関節53関節)を評価した.
方法:TNF阻害剤使用前,投与後1年目,2年目に荷重関節のX線撮影を行い各時期のX線写真を比較検討した.臨床評価にはDAS28-ESRとEULAR改善度を用いた.
結果:股関節と膝関節において,baselineのLarsen gradeがⅢ以上の関節は早期から骨破壊が進行し,gradeⅡ以下の関節では進行はほとんどなかった.足関節と距骨下関節においては,骨破壊の進行とbaselineのLarsen gradeとの間に明瞭な関連がなく,関節の修復所見が確認された.臨床効果についてはno responseの場合に約半数で関節破壊が進行していた.
結論:荷重関節の機能を維持するためにはLarsen gradeが早期の段階から疾患活動性を十分にcontrolする必要がある.Larsen gradeがⅢ以上の股関節,膝関節ではTNF阻害療法を開始しても早期に関節破壊が進行する危険性が高く,外科的治療を優先させることが望ましい.

著者関連情報
© 2010 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top