本研究では、高速道路整備がもたらすマクロ経済上の効果並びに各地域の人口や経済力の分布の変動をシミュレーションするため既往研究において提案されているモデルに改善を加えた上で、3通りのシナリオで高速道路の新規整備がもたらす効果を推計した。その結果、高速道路の新規整備が実質 GDP の向上に寄与し、一定のマクロ経済改善効果があることが確認された。一方で、全国的な整備を行うシナリオと関東地方のみの整備を行うシナリオでは、関東圏へ人口や経済力がさらに集中し、地方の衰退を促す危険性を有するという結果が得られた。一方、関東地方以外のみを整備するというシナリオにおいては、関東地方からの人口並びに経済力の分散化効果が確認された。しかしその効果は大きいものであるとは言い難く、さらなる整備シナリオの模索の必要性が示唆された。