2017 年 3 巻 2 号 p. A_255-A_262
我が国では、過度に自動車に依存した社会構造から脱却する手段の一つとして、LRT(Light Rail Transit) の導入構想が各地にある。しかしながら、LRT を道路空間に導入する場合、道路容量の低下による渋滞悪化が懸念される。また、LRT の利用者が多くなれば、電停へのアクセスによって増加する横断歩行者が自動車交通流に与える影響も無視できない。そこで本研究では、栃木県宇都宮市の LRT 計画をケーススタディとし、ミクロ交通流シミュレーションを用いてこれらの問題の分析を行った。シミュレーション結果より、シミュレーション範囲では、平日休日ともに、車線数が 1 車線減少する西進方向において、渋滞の発生が見られた。さらに大規模商業施設に隣接した電停における道路横断歩行者数の増加は、自動車交通流に与える影響が大きいことが分かった。