2024 年 10 巻 1 号 p. A_1-A_9
近年、交通安全施設の持続可能性を高めるため、必要性の低下した信号機の撤去が検討されている。とりわけ、代替の交通安全対策によりその機能を担保しやすい一灯点滅式信号機は、優先的に撤去が進められている。しかしながら、必ずしも地域住民が撤去に対して賛意を示すとは限らず、適切な合意形成を進めていくためには、その事故抑制効果と住民の撤去への賛否要因を明らかにすることが求められる。そこで本研究では、一灯点滅式信号機の撤去前後における交通事故件数の変化とその要因、および撤去に対する住民の賛否意識とその影響要因の把握を試みた。その結果、撤去後に適切な安全対策を行うことで事故件数の抑制が可能であること、そして適切な情報提供と状況説明により撤去への賛成意識を高めることが可能であることを明らかとした。