本研究は、渋滞下のドライバーに対して適当な副次課題を与えることにより、ドライバーの精神疲労や知覚時間が軽減されるだけでなく、運転のパフォーマンスが向上する可能性にも着目し、ドライバーが運転操作以外の副次課題を行うことの影響を明らかにすることを目的とする。具体的には、渋滞下での運転操作を模した室内実験環境において 15 分間にわたり 4 種類の副次課題を課す実験を行い、その影響を反応遅れ時間や多角的な心理指標によって計測を試みた。結果として、副次課題によって注意レベルに明確な差異は生じない一方、受動的な副次課題は知覚時間を増大させ、能動的な副次課題は短縮させる効果がみられた。また、「会話をする」という能動的な副次課題は、男性のストレス及び疲労は軽減させるが、女性の場合は増大させる可能性が明らかとなった。