2019 年 46 巻 p. 52-57
モバイル端末の普及,SNS の隆盛は,日々のコミュニケーション活動に広く浸透し,外国語を学ぶ学習者の資質,学習スタイル,学習目的,学習上のニーズにも少なからぬ影響を及ぼしている。本稿は,モバイル普及,SNS隆盛時代の外国語学習のツールとして,モバイルアプリに着目し,教育利用の可能性と教育設計について考察することを目的とする。具体的には,学習者の主体的利用に依拠する非構造的な学習活動を,外国語習得に必要な構造的な言語学習活動に結実させる効果的な教育設計について検討することにある。考察対象には,筆者が開発中の『Wave 中国語“游”』とSNS を利用したクイズ形式の双方向学習アプリ『小游』を取り上げ,中国語教育の事例を通して検討し,これからの初修外国語教育と言語教育研究の一助としたい。