本研究はオープンな場面でフローチャート証明をすることに着目し,その特徴(証明の二層構造の視覚化,多様な証明の構成促進)に基づいて,証明の基礎的学習における効果と限界等について考察した。その結果,次のことが明らかとなった。効果として,証明の構造に関する全体的な理解を促進するとともに,その理解を伴いつつ,前提から結論に前向きに/結論から前提に後向きに推論すること及び両者による中間命題の関係網の接続を促進することが期待し得る。一方,限界として,フローチャート形式による思考の制約/クローズなパラグラフ証明への切り替えが想定される。