ダプトマイシン(DAP)非感性株を含むStaphylococcus aureus(S. aureus)13株を使用し,市販の3ブランド(BD,栄研,極東)のミュラーヒントン寒天培地を用いた際のEtest法によるDAPのブレイクポイント(BP)(MIC値が1 μg/mL)付近のMIC値の測定精度について,微量液体希釈法を基準に,比較検討した.精度管理(QC)株には,S. aureus ATCC29213およびEnterococcus faecalis ATCC29212を使用した.S. aureus 13株に対するMIC測定では,QC株に対するMIC値がQCレンジ外であった栄研及び極東で,偽感性が発生した.BDは,QC株に対するMIC値はQCレンジ内であったが,偽非感性が発生した.S. aureusに対するDAPのMIC測定では,BPとかけ離れたMIC値を示すS. aureus ATCC29213だけでなく,DAPのBP値を示すS. aureus株もQC株として設定していく必要がある.