昭和医学会雑誌
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臍帯血幹細胞移植の現状と展望
磯山 恵一池田 裕一三森 謙一山田 耕一郎西平 浩一
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2000 年 60 巻 5 号 p. 566-570

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抄録

臍帯血には造血幹細胞が豊富に存在しており, 造血幹細胞移植の供給源のひとつとして使用されるようになった.最近の血縁者間, 非血縁者間臍帯血移植の成績から, 臍帯血中には骨髄造血を回復させるために十分な造血幹細胞が含まれていることが明らかになった.また, 移植後の重篤な移植片対宿主病 (graftversus-host disease, GVHD) の発症率も極めて少なく軽症であることも示されるようになった.我が国では, 1995年に神奈川臍帯血バンクが設立されこれまでに臍帯血を供給し, 臍帯血移植が行われた.その後, 国内外で1000例以上の非血縁者間臍帯血移植が行われておりその内我が国では2000年3月末時点で200例である.現在, 国内9ケ所の臍帯血バンクが公的補助を受け血液の供給を行っているが, これを日本さい帯血バンクネットワークとして連係する取り組みが行われている.この動きは, 臍帯血を利用する側にとって一層便利になるばかりでなく, 臍帯血移植の発展のために有用であると考えられる.

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