1988 年 48 巻 3 号 p. 425-428
肉芽腫性リンパ節炎 (5例の結核性リンパ節炎, 2例の梅毒性リンパ節炎および1例のサルコイドーシス) におけるTcellとB cellの量的変動を, リンパ節スタンプ標本におけるAlpha-Naphthyl-Acetate-Esterase (ANAE) とAdenosine-Triphosphatase (ATPase) 両染色により検索した.最近の単クローン性抗体を用いた諸家の報告と比較し次のような事項が示唆された.1) 肉芽腫性リンパ節炎においてはT cellが優勢であるが一部の症例ではANAE-Droplet positive cellの明らかな増加は認められなかった.2) したがってANAE-negative cellやATPase-positive cellの少なくとも一部の細胞にはT8 cellが含まれている可能性がある.3) 梅毒の早期の反応からT cellはB cellより多く, 結核性炎と同様に細胞性免疫反応が病初から起っている現象と思われる.肉芽腫性リンパ節炎とともにPiringerリンパ節炎, 伝染性単核症のリンパ節各1例が検索され, いずれもT cellが多数を占めたが, 特に伝染性単核症でそれが著明であった.