昭和学士会雑誌
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原著
化学療法を施行した進行大腸癌患者の大腰筋筋量と栄養状態の経時的変化
井口 暁洋小西 正浩吉田 俊裕安田 琢朗青木 啓一郎齋藤 甚神山 一行大下 優介伊藤 純治
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2021 年 81 巻 3 号 p. 250-258

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抄録

がんリハビリテーション対象患者のリハビリテーション介入時期における明確な介入指針は示されていない.化学療法を継続する要件として活動性の指標であるPerformance Status(以下PS)0から2を継続出来ていることがあげられる.われわれは,現状のリハビリテーション依頼よりも活動性の高い,早期にリハビリテーション介入することでPS維持につながるのではないかと考えている.本研究では化学療法を行った進行大腸癌患者を対象に歩行などのActivity Daily Living(以下ADL)能力に関係するといわれる大腰筋をCTのDICOMデータから3次元大腰筋モデルとして作成し,3次元大腰筋モデルの体積を筋量として計測した.初診時,前悪液質期,終末期(死亡1か月前)にわけて,経時的な調査を行った.研究の計画段階では終末期にかけて,段階的に大腰筋は減少することが予想されたが,実際の結果では初診時から前悪液質期に有意に減少していた.またリハビリテーション介入例は終末期であっても,非介入例と比較すると大腰筋体積の減少した症例は少なかった.リハビリテーション介入に関しては,可能な限り早期に行うことが望ましいことが示唆された.

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© 2021 昭和大学学士会
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