昭和学士会雑誌
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症例報告
異時性肝転移に対し肝切除を行った非浸潤性乳管癌の1例
箱崎 智樹村上 雅彦松田 和広草野 智一古泉 友丈藤森 聰青木 武士
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2018 年 78 巻 6 号 p. 688-694

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抄録

症例は43歳,女性.前医で右乳癌に対し右乳房部分切除術を施行.病理診断で非浸潤性乳管癌(Ductal Carcinoma In Situ:DCIS)と診断され,術後補助放射線療法後に外来経過観察されていた.術後2年8か月に健診で施行した腹部超音波検査で,肝臓S3, 4に3.6cm大の腫瘤を指摘された.前医で同腫瘤を針生検し,病理診断で乳癌異時性肝転移疑いと診断され,当科へ手術目的に紹介された.過去にDCISの異時性肝転移切除例で,長期生存を得た報告がある事を考慮し,肝部分切除術を施行した.病理診断では乳癌異時性肝転移に矛盾しないと診断された.DCISは間質浸潤を示さない乳癌であり,現在本邦において増加傾向にあるが,外科的切除後に再発・遠隔転移を認める症例は稀である.今回われわれはDCISの術後2年8か月で異時性単発肝転移を認め,肝切除を施行した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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