2013 年 73 巻 5 号 p. 463-466
症例は術前より片側の反回神経麻痺を認める73歳の女性で,甲状腺癌のため甲状腺全摘術が予定された.反回神経は温存されたものの,手術操作の影響と思われる対側の反回神経麻痺の結果両側の反回神経麻痺をきたし,抜管後上気道閉塞から陰圧性の肺水腫に至った.直ちに再挿管し気管切開術を施行した.ステロイド投与と呼気終末陽圧を併用した人工呼吸管理により,発症数時間後には動脈血血液ガス所見は改善した.上気道閉塞を起こす可能性のある症例では陰圧性肺水腫発症の可能性を考慮して,慎重に抜管,術後管理すべきである.