顔面に生じた3例の病理組織学的に特徴ある腫瘍を報告した.臨床的には尋常性疣贅ないし脂漏性角化症と診断された孤立性の表面やや疣状の丘疹であった.組織学的には腫瘍細胞索が表皮あるいは毛包漏斗部と連続して真皮側へ延び,漏斗状の陥入を示す両性の上皮性腫瘍で,毛を含み,下方では脂腺の付着や毛包下部への連続が見られた.腫瘍細胞の主体は,表皮の有棘細胞よりグリコーゲンを多く含むやや明調な細胞であった.PAP法で疣贅ウイルスは認めなかった.これらの腫瘍は主として毛包漏斗部に由来する良性腫瘍のprotorypeと考えinfundibular keratosisと仮称した.毛包漏斗部は形態的に表皮と区別しがたいために本症はこれまで組織学的にも脂漏性角化症・尋常性疣贅や老人性角化症などと診断され見過ごされていたと考えられる.