1985 年 95 巻 5 号 p. 571-
11例の色素性乾皮症(XP)のUV過敏性と修復能を検討し,さらにXP由来線維芽細胞のplasminogen activator inhibitor(PAI)を測定した.正常ヒト線維芽細胞及び非担癌XP線維芽細胞に存在するPAIが担癌状態では消失ないしは著減しているという結果を得たが,これは修復欠損の程度とは相関せず,数種の細胞を用いた実験では培養継代数,UV照射によっても変化を示さなかった.またplasminogen activator(PA)の測定も行なったが,我々の方法では活性は認められず,UV照射にても活性は誘導されなかった.担癌XP細胞でPAIが消失した事実の意義については不明ではあるが興味あることと思われ,今後の追求が必要と考えられた.