日本皮膚科学会雑誌
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アトピー性皮膚炎とHLA抗原 -気管支喘息とアレルギー性鼻炎の合併の有無,および lgE値による解析-
小澤 明大城戸 宗男松尾 聿朗新妻 寛中野 政男辻 公美能勢 義介伊藤 元明加藤 俊一木村 三生夫山本 一哉
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1976 年 86 巻 14 号 p. 929-

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抄録

アトピー性皮膚炎とそれに合併する気管支喘息,アレルギー性鼻炎の3疾患の免疫遺伝学的関係について,ヒト白血球抗原(HLA 抗原)を用い検討した.まず,アトピー性皮膚炎100例(気管支喘息合併例44例,アレルギー性鼻炎合併例31例)と患者宗族35家系および対照として健康正常人355例の HLA 抗原検査を行った.また,同時にアトピー性皮膚炎71例の lgE 値を測定し,lgE値とHLA抗原との関係を検討したに 1.統計遺伝学的解析で,健康正常人に比べ,アトピー生皮膚炎では HLA-BW40 か高頻度に出現 (p<0.05 ),気管支喘息を合併する群では HLA-B12 が有意に出現し (p<0.05) ,アレルギー性鼻炎を合併する群では,HLA-BW40 が統計学的には有意の差はないが,比較的高頻度に出現した.なお,以上すべての患者群で HLABW15 は1例も出現しなかった(p<0.05). 2.宗族調査で,アトピー性疾患と HLA 抗原の linkage は認めなかったが, HLA-B12, HLA-BW40 のいずれか,または両方を持つものでは,アトピー性症状を有することが多く (52.3%) ,濃厚な遺伝関係を認めた.なお,宗族調査を行った宗族(患者を除く総宗族人員72例)でも HLA・BW15 を有するものはなかった. 3.アトピー性皮膚炎71例の lgE 値を測定し, 1,000u/ml で2群に分けて HLA 抗原出現頻度を比較したが,有意差は認められなかった.また, 600u/ml, 2,000u/ml などの段階で分けても有意差はでなかった.これより,アトピー性皮膚炎における lgE 値を規定するのは HLA 抗原でないと考えた. 4.以上の結果につき種々考案し,アトピー生皮膚炎とそれに合併する気管支喘息,アレルギー性鼻炎の3疾患の免疫遺伝学的関係は, HLA 抗原からみて次の①,②のいずれかか,または両者の関係が考えられた.①アトピー生皮膚炎(特定抗原ない,気管支喘息 (HLA-B12 ),アレルギー生鼻炎 (HLA-BW40,統計学的には有意差がないが,高頻度)は,それぞれ別の HLA 抗原とassociate している.② いっぽう,3疾患が疾患抵抗性抗原とも呼べる同一抗原 (HLA-BW15) と associate している可能性もある.

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© 1976 日本皮膚科学会
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