2017 年 127 巻 4 号 p. 607-614
日齢0日,男児.生下時から両下肢に広範囲の皮膚潰瘍があり,軽微な外力により水疱とびらんが新生した.病理組織学的所見ではHE染色で表皮下水疱がみられた.電子顕微鏡検査所見では係留線維が全体に低形成であった.遺伝子検査では,COL7A1のエクソン5にc.553C>T(p.R185X),エクソン116にc.8569G>T(p.E2857X)の変異が検出された.以上から劣性栄養障害型表皮水疱症と診断した.自験例では両アレルで終始コドン変異がみられたが,臨床症状は重症ではなかった.これはVII型コラーゲンが二量体を形成する際に結合して切断される部位よりC末端側にE2857X変異があるためと考えられた.