日本皮膚科学会雑誌
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原著
自己免疫性水疱症に対するミゾリビン内服併用療法の効果~当科12症例の使用経験
池澤 優子松倉 節子高橋 一夫池澤 善郎蒲原 毅
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2012 年 122 巻 9 号 p. 2313-2320

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抄録

ステロイド単独治療に抵抗性を示した,あるいはステロイド漸減中に再燃を認めた自己免疫性水疱症12例(尋常性天疱瘡:6例,落葉状天疱瘡:3例,水疱性類天疱瘡:3例)に対してミゾリビン(mizoribin:MZR)内服併用を行い,その効果や安全性について検討した.MZRの投与量は100~200 mg朝1回内服とし,3時間後の最高血中濃度を検討した.一定期間継続投与をし得た11例のうち10例に症状の改善を認め,内服ステロイドの更なる減量が可能であった.2例は副作用で治療を中止した.また症状の改善を認めた10例中8例で抗デスモグレイン(Dsg)1,3抗体あるいは抗BP180抗体価の減少を認めた.MZRの効果的な投与のためには薬剤血中濃度のピーク値をある程度以上に上げる必要があり,著効例ではいずれも最高血中濃度が1.2 μg/ml以上であった.またMZRの増量によりピーク値は上昇し,ある程度までは濃度依存性に効果が高まることが示唆された.同量のMZRを投与しても,年齢者や腎機能などにより血中濃度のピーク値には個人差があるため,MZRの適切かつ効果的な投与のためには1日1回の内服と患者個々における血中濃度のピーク値の測定が重要と考えた.

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© 2012 日本皮膚科学会
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