日本皮膚科学会雑誌
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皮膚良性腫瘍,前癌状態の核DNA量パターンの検討
豊島 弘行堀 真吉田 彦太郎
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1991 年 101 巻 5 号 p. 527-

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抄録

良性腫瘍である脂漏性角化症,ケラトアカントーマ,前癌状態の老人性角化症,Bowen病の4疾患についてDNAヒストグラムを作製し,DNA index,polyploid cell出現率を比較・検討した.DNA indexにおいては,老人性角化症が,脂漏性角化症,ケラトアカントーマより高い値をとり,Bowen病が脂漏性角化症より高値を示した.4C以上のpolyploid cell出現率においては,ケラトアカントーマは脂漏性角化症より,老人性角化症及びBowen病はケラトアカントーマよりもそれぞれ,有意に大きい値をとった.しかしながら,老人性角化症とBowen病との間には有意の差はみられなかった.すなわち,4C以上のpolyploid cell出現率においては,皮膚良性腫瘍と前癌状態に差が見られたが,同じ前癌状態の老人性角化症とBowen病との間には差がみられなかった.また,ケラトアカントーマのpolyploid cell出現率は,脂漏性角化症より高値を示した.この結果は,同じ良性腫瘍であっても,活性の違いを反映しているのではないかと考えられた.

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© 1991 日本皮膚科学会
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