良性腫瘍である脂漏性角化症,ケラトアカントーマ,前癌状態の老人性角化症,Bowen病の4疾患についてDNAヒストグラムを作製し,DNA index,polyploid cell出現率を比較・検討した.DNA indexにおいては,老人性角化症が,脂漏性角化症,ケラトアカントーマより高い値をとり,Bowen病が脂漏性角化症より高値を示した.4C以上のpolyploid cell出現率においては,ケラトアカントーマは脂漏性角化症より,老人性角化症及びBowen病はケラトアカントーマよりもそれぞれ,有意に大きい値をとった.しかしながら,老人性角化症とBowen病との間には有意の差はみられなかった.すなわち,4C以上のpolyploid cell出現率においては,皮膚良性腫瘍と前癌状態に差が見られたが,同じ前癌状態の老人性角化症とBowen病との間には差がみられなかった.また,ケラトアカントーマのpolyploid cell出現率は,脂漏性角化症より高値を示した.この結果は,同じ良性腫瘍であっても,活性の違いを反映しているのではないかと考えられた.