2012 年 122 巻 5 号 p. 1353-1357
猫ひっかき病(Cat scratch disease:CSD)は猫による受傷(創傷や咬傷)が原因で発症するBartonella henselaeの感染による人畜共通感染症である.定型的なCSDはよく知られているが,診断法の進歩とともに非定型的な症状が明らかになり,不明熱,肝脾臓病変,脳炎,眼症などを含む症候群としてBartonella henselae感染症を捉えるようになっている.ペット共生スタイルの違いもあり,本邦では比較的稀ではあるが増加傾向にある.本稿では猫ひっかき病を中心にBartonella感染症について概説する.