適応予測と事例探索を併用した確率モデル最適化に基づく静止画像の可逆符号化方式

海野 恭平
亀田 裕介
松田 一朗
伊東 晋
内藤 整

誌名
電子情報通信学会論文誌 D      No.10    pp.619-627
発行日: 2019/10/01
早期公開日: 2019/06/10
Online ISSN: 1881-0225
DOI: 10.14923/transinfj.2019IEP0003
論文種別: 特集論文 (画像符号化・映像メディア処理論文特集)
専門分野: 
キーワード: 
静止画像,  可逆符号化,  事例探索,  線形予測,  準ニュートン法,  

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あらまし: 
我々は,事例探索に基づいて画素信号の生起確率を高精度にモデル化し,効率的に可逆符号化する手法を開発している.この手法では,符号化対象画素の周辺輝度分布を用いたテンプレートマッチングによって符号化済み領域から収集した画素群を事例とみなし,それらの輝度値によってピークの位置が決まるガウス関数の重み付き和によって符号化対象となる輝度値の確率分布をモデル化している.更に,個々のガウス関数の形状を制御する少数のパラメータを準ニュートン法によって最適化することにより,一定サイズの領域ごとに発生する符号量の最小化を図っている.本論文では,上記の確率モデルを構成するガウス関数のピーク位置を決定する際に,事例だけではなく,符号化済みの近傍画素から予測した予測値も併用する方法を提案する.これにより,非近傍画素の自己相似性に着目した事例の情報に加え,近傍画素の相関に基づいた予測から得られる情報を利用することが可能となり,符号化効率の向上が期待できる.