次世代RANの実現に向けたフルコヒーレントアクセスシステム

中沢 正隆
葛西 恵介
吉田 真人
廣岡 俊彦

誌名
電子情報通信学会論文誌 C      No.11    pp.315-328
発行日: 2022/11/01
早期公開日: 2022/06/20
Online ISSN: 1881-0217
DOI: 10.14923/transelej.2022JCI0004
論文種別: 招待論文
専門分野: レーザ・量子エレクトロニクス
キーワード: 
5G,  Beyond 5G/6G,  RAN,  フルコヒーレントシステム,  超高速光・電子デバイス,  

本文: FreePDF(13.2MB)

あらまし: 
本論文では次世代RAN (Radio Access Network)の実現に向けて我々が提案してきているフルコヒーレントアクセスシステムについて述べる.最初に2010年代の4Gから2020年代の5G更に2030年代の6Gに向けての大きな変革としてD-RAN (Distributed RAN)からC-RAN (Centralized RAN)への進化について述べた後,それとともに今まで開発されてきた各種モバイルフロントホール(MFH: Mobile Fronthaul)について説明する.その中で将来に向けてのフルコヒーレント伝送の重要性を浮かび上がらせ,我々が実験を行ってきている無線・光融合型フルコヒーレント伝送方式について述べている.この方式は光信号と無線信号をIF (Intermediate Frequency)が異なる一つの電磁波伝送として捉えるものであり,構成が簡単でありかつ高性能を実現できる興味深い手法である.光と無線を一体として捉えることにより,光伝送部分で発生する誤りを無線のFEC (Forward Error Correction)で補正できるなど今まで考えられなかった特徴がある.更に,その実現のために重要な技術として,注入同期による信号光とLO (Local Oscillator)光との高精度位相同期技術について詳細に述べる.この高精度な位相同期はLD (Laser Diode)が1台という簡単な構成で実現できるため,256 QAMのような高い多値度の光伝送にも応用可能であることを示した.最後に,フルコヒーレントアクセスシステムの高度化のために重要な光・電子デバイス更にはその集積化技術について述べている.