宝石学会(日本)講演会要旨
2019年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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2019年度 宝石学会(日本) 一般講演要旨
ダイヤモンドの蛍光について
*小川 日出丸
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p. 7

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抄録

光学欠陥や不純物によってダイヤモンドは特徴的な蛍光を発する。蛍光を活用した検査には、紫外線に対する蛍光を目視で観察する方法や、DiamondView™による蛍光像解析、光学機器による測定をおこなうなど、宝石鑑別において重要な項目である。

天然ピンクダイヤモンドと合成ピンクダイヤモンドは、それぞれ特徴ある蛍光がみられる。その蛍光がどのような波長分布によるものなのか、蛍光分光光度計で測定した。最大の蛍光スペクトルをもたたらす励起波長や、励起波長の変動にともなう蛍光スペクトルの変化を、3D 蛍光スペクトルを測定することによって、それぞれの特徴を観察した。天然ピンクダイヤモンドは、赤外分光を使用してタイプをしらべるとⅠ a、Ⅰ aA、Ⅰ aA>Ⅰ aB、Ⅰ aB>Ⅰ aA、Ⅰ aB、Ⅱ a が存在する(Sally et al. 2018)。個々の蛍光強度に違いはあるが主に青色蛍光を示す。いくつかのタイプについて蛍光スペクトルを測定した。

合成ピンク石は、赤~橙色の蛍光が一般的である。これは合成後に、照射と加熱処理によるNVセンタによって赤色系に着色されていることによる。(一部淡色は除く)。

産業界では次世代パワーデバイスとして合成ダイヤモンドが注目されているが、NV センタの赤色蛍光を利用したダイヤモンドセンサーが、生体の応用研究に利用されている。

合成ピンクダイヤモンドは、CVD 法と HPHT 法で合成されている。赤外分光では加熱による 1450 cm-1 の他、孤立窒素のピークが確認される。さらに CVD 法合成ピンク石では、C-H 関連のピークもみられた。それぞれの製法について蛍光スペクトルを測定したところ、NV センタによるピークがみられた。

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