霊長類研究 Supplement
第37回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
ウガンダ・カリンズ森林におけるアビシニアコロブスの葉の選択性
松田 一希橋本 千絵五百部 裕湯本 貴和Baranga DeborahClauss MarcusHumme Jürgen
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p. 41-42

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抄録

アビシニアコロブス(Colobus guereza)は、アフリカに最も広く分布するコロブス類の一種である。その分布域の広さから、同種内においてもその分布する地域によって、多様な採食行動が報告されている。 私たちの研究チームは、ウガンダ共和国のカリンズ森林保護区に生息する、本種の採食行動を調査している。私たちは、アビシニアコロブスの一群を人付けし、延べ4300時間以上もの本種の行動観察を30カ月間実施した(2013年11月~2016年4月)。行動観察に加え、調査地内の食物資源量を見積もるための毎木調査、植物フェノロジーに関する調査も行った。その結果、カリンズ森林のアビシニアコロブスは、 31種類の植物種を調査期間中に摂取し、強い葉食性(採食時間の87%)であることがわかった。最も好んで採食した植物は、アサ科エノキ属のCeltis durandiiの若葉であり、全採食時間の58%を占めていた(Matsuda et al. 2020, Primates)。本発表では、これらの基礎的な採食データと植物資源量のデータをもとに、アビシニアコロブスが採食する葉の選択性を、その栄養素、硬さ、牛のルーメン液を用いて計測した消化率といった観点から検討する予定である。

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© 2021 日本霊長類学会
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